告白します。私はこれまで、奈良マラソン、大阪マラソン、芦屋のファンランと、3つの大会で骨伝導イヤホンを着けて走っていました。しかも、イヤホンの使用にルールがあることを、まったく知らずに。
「あれ、それって大丈夫だったの?」——そう思った方もいるかもしれません。私自身、あとから気になって調べてみました。今日は、その調べてわかったことと、私自身の使い方を、正直にお話しします。
調べてわかった:イヤホンのルールは大会ごとにバラバラ
まず結論から言うと、マラソン大会でのイヤホンの扱いは、大会によって全然違います。大きく分けると、こんな感じです。
- 全面的に禁止している大会
- 「片耳だけならOK」「周囲の音が聞こえる音量なら可」と条件付きで許可
- 骨伝導など、耳を塞がないタイプのみ許可
- 特に規定がない大会
たとえば東京マラソンでは、全面禁止ではなく、「イヤホンは周囲の音が聞こえにくくなって危険なので、使う場合は片耳を空けるか、周囲の音が聞こえる音量にしてほしい」という、条件付きの注意喚起という形をとっています。大会によって、本当にさまざまなんです。
なぜルールがあるのか:青島太平洋マラソンの実例
「そもそも、なんでイヤホンにルールがあるの?」と思う方もいるでしょう。その理由を、はっきり示す出来事があります。
宮崎県の青島太平洋マラソンでは、2018年の大会で、あるランナーが心肺停止になる事態が発生しました。そのとき、救護班が後方から駆けつけたのですが、イヤホンを着けていた周囲のランナーが、その声に気づきにくかったというのです。
これを受けて、青島太平洋マラソンでは現在、「イヤホンは片側だけの装着」をお願いしています。イヤホンのルールは、ランナーを縛るための意地悪ではなく、こうした「もしものとき」に、周りの誰かを助けられるかどうかに関わっている。この事例は、それを一発で教えてくれます。
陸連公認大会は「基本禁止」。でも実態は少し違う
もう少し掘ると、日本陸連の公認大会では、イヤホンは基本的に禁止の扱いになっています。競技規則上、イヤホンなどの機器は「助力(外部からの援助)」と見なされ、使うと失格の対象になり得るからです。
ただし、ここが大事なところなのですが、この規則が厳密に適用されるのは、主に入賞や記録の公認を狙うエリートランナーです。一般の部で自己ベストを目指す市民ランナーへの適用には、運用の幅があるのが実態のようです。実際、私が走った大会でも、骨伝導を着けているランナーは相当数いましたし、一律に取り締まられている様子はありませんでした。
とはいえ、「だから使っていい」という話ではありません。あくまで安全のためのルールなので、主旨を理解しておくことが大切です。
福知山マラソンはどうなのか、調べてみた
私が次に出場する福知山マラソンについても、調べてみました。
公式サイトの大会要項やFAQを見た限り、イヤホン・ヘッドホン・骨伝導に関する規定は、特に明記されていませんでした。禁止とも、可とも書かれていない状態です。ただし、福知山マラソンは日本陸連の公認大会なので、上で書いた陸連規則の建て付けは、一応あてはまることになります。
明文化されていない以上、当日「係員に外すよう言われる可能性」はゼロではありません。確実にしたいなら、大会事務局に問い合わせるのが一番早いです。「骨伝導イヤホンの使用可否」と一言聞けば済みます。参加案内に申し合わせ事項が載ることもあるので、そこも確認どころですね。
私の使い方が、結果的に”安全側”だった理由
さて、ここで自分の使い方を振り返ってみます。無知だったとはいえ、私の使い方は、実はかなり安全側に寄っていたことに気づきました。
私の大会での骨伝導イヤホンの使い方は、こうです。
- スタート前:並んでいる間に、自分を奮い立たせる曲を2〜3曲。気合いを入れる
- スタート後:曲は止める。周りのランナーと、あの独特の緊張感を共有したいから
- レース中:イヤホンは、Garminと繋いで1kmごとのペースを音声で知るために使用。音楽は流さない
- 給水所や折り返し:当然、無音
- ゴール前:声援をくれる方々の声を聞きながら、フィニッシュ
つまり、耳を塞がない骨伝導で、音楽は要所だけ、周囲の音は常に聞こえる状態。これは、規則の主旨である「運営の指示と周囲の音が届くこと」を、ほぼ満たしていたわけです。
ただ、正直に補足しておくと、「1kmごとのペースを音声で知る」という使い方は、厳密には少し微妙かもしれません。陸連の規則では、技術的な装置によってペースの助けを得ることも「助力」として挙げられているからです。音楽よりも、むしろこちらのほうが規則の趣旨には触れやすい、とも読めます。私は無意識にやっていましたが、気になる方は、ペース確認は時計の画面を見る方法にするのが無難かもしれません。
そして、ラスト10km。私は音楽の力を借りる
ここからが、この記事で一番伝えたいことです。
私が大会中に音楽をかけるのは、本当にラスト10kmくらい、心身ともにきつくなってきたタイミングだけです。
終盤の精神状態は、独特です。「もう少しでゴールだ」という気持ちと、「もう足を止めたい」という気持ちが、ぐちゃぐちゃに入り混じる。そして走るほどに、「止まりたい」というマイナスの気持ちが、だんだん強くなってくるんです。
その弱気な自分を奮い立たせるために、音楽の力を借ります。かけるのは、練習で聴いて「これは気持ちが高ぶる」と分かっている勝負曲。私の場合は、リンキン・パークの「Faint」、sumikaの「Starting Over」、B’zの「衝動」。この3曲が、折れそうな心を最後にもう一度立たせてくれます。
そして2〜3曲かけたら、また曲を止める。最後は、ゴール前で声援をくれる方々の声を聞きながら、フィニッシュを迎えます。
音楽は、ずっと聴くものではなく、ここぞの一瞬に使う”スイッチ”。私にとっては、そういう使い方が一番しっくりきています。
まとめ:大切なのは、確認して、安全側に倒すこと
イヤホンのルールを知らずに走っていた私が言うのもなんですが、一番大切なのは、参加する大会の要項を必ず確認することです。
そのうえで、迷ったときは「使わない → 片耳 → 低音量」の順で、安全側に倒す。骨伝導のように周囲の音を拾えるタイプを選ぶ。そして、係員に外すよう言われたら、素直に従う。これはルール違反かどうかとは別の、その場の安全のための判断です。
青島太平洋マラソンの事例が教えてくれたように、あなたが周囲の音を聞ける状態でいることは、いざというとき、誰かの命を助けることにつながるかもしれません。音楽は、ランニングを楽しく、最後のひと踏ん張りを支えてくれる心強い味方。だからこそ、周りへの配慮と安全を守りながら、上手に付き合っていきたいですね。
福知山では、私はまたラスト10kmで、あの3曲に背中を押してもらおうと思っています。
※本記事の規則に関する内容は執筆時点の情報です。大会ごとのルールは変更される場合があるため、参加前に必ず公式の最新情報をご確認ください。

